【ここで学べること】
・遠隔モニタリングとは
・診療報酬
・遠隔モニタリング導入の流れ
遠隔モニタリングの歴史
1990年代にドイツの大学教授により考案され、2000年よりBiotronik社のHome Monitoringが運用開始しました。日本では2008年に薬事承認され、2010年4月より保険償還され、使用が開始されました。
ここでは、遠隔モニタリングについてや遠隔モニタリングの診療加算など基本的なことの他に、導入する際の気を付けるポイントをまとめています。
遠隔モニタリングとは?
遠隔モニタリングとはモニタリング機械と患者デバイス本体が通信をして、follow up病院に情報(チェックデータなど)を送信します。
月に1度情報が送信されるため早期に不整脈を発見することができます。
患者さんが毎回操作をするわけではなく指定時間に自動送信されます。
遠隔モニタリング機械をおいておくだけなので高齢者や機械が苦手な人でも簡単に導入することができます。
遠隔モニタリングの有用性
2010年より始まった遠隔モニタリングですが、従来の対面診察と比較して不整脈やデバイス、リードの不具合に関して早期に発見と診断ができます。
さらに、入院期間の短縮や生命予後改善の報告もされています。
高齢化社会に伴う病院への通院回数の軽減などが課題になっており、2016年には日本でも推進事業として遠隔モニタリングが挙げられています。(表1)
患者家族のメリット | ・外来診療回数を減らすことで通院に伴う労力(費用)の軽減 ・不整脈の早期診断と治療により入院回避、入院期間短縮、生命予後の改善の効果 |
病院側のメリット | ・対面診療回数の減少(業務量軽減、経済負担の軽減) ・イベントの早期発見と治療が可能 ・事前の設定変更や治療方針の検討が可能 |
また、2016年4月より「遠隔モニタリング加算」が新設され、2018年4月に改訂されました。
難しい話になりますが、米国不整脈学会(HRS)が公表したデバイス植え込み患者に対する遠隔モニタリングに関するレポートを参考にして、日本におけるデバイス外来および遠隔モニタリング運用のガイドラインが提唱されました。(表2)
【推奨クラス分類】
クラスⅠ:評価法・治療が有用、有効であることについて証明されているかあるいは見解が広く一致している
クラスⅡa:データ、見解から有用、有効である可能性が高い
【エビデンスレベル】
レベルA:複数のランダム化比較試験、またはメタ解析で実証されたデータ
レベルB:1つのランダム化比較試験、または非ランダム化研究
【Minds推奨グレード】
グレードB:科学的根拠があり、行うよう勧められる
グレードC1:科学的根拠はないが、行うよう勧められる
【Mindsエビデンス分類】
Ⅱ:1つ以上のランダム化比較試験
Ⅲ:非ランダム化比較試験
遠隔モニタリングシステム
患者自宅に各メーカーの送信機(中継器)を介して、電話回線や携帯の3G(4G)回線を利用し送信機を通してデバイス情報を定期的に送信します。
送信方法は手動送信するマニュアル法と自動的に無線送信されるワイヤレス法があります。
マニュアル法であれば任意のときに手動送信することができ、患者と病院で相談のうえ決められた日に送信をしてもらうこともできます。
ワイヤレス法では定期送信が可能なので任意の日時を決め、スケジュール送信設定をします。
また、不整脈やデバイス異常があった際のアラート送信機能があります。
アラート送信の基準は各施設で設定することができ、アラートがあるたびに自動的にメールやFAXなどで通知がきます。必要に応じて患者に来院してもらい早期の対処が可能になります。
診療報酬
2016年4月より遠隔モニタリング加算が新設され、2018年4月に改訂、2020年4月にペースメーカ指導管理料と遠隔モニタリング指導管理料加算において植え込み型除細動器とペースメーカに区別されました。(表3)
算定期間は対面診療以外の月に1度、最長11ヵ月を限度として可能です。
導入までの流れと説明にあたっての注意
簡単に導入の流れをまとめました。
遠隔モニタリングを導入説明する際に気を付けている3つのことです。
・遠隔モニタリングを通じて緊急対応はできない
・次回外来時遠隔モニタリング管理料がかかる
遠隔モニタリングを行う上で勘違い防止として、緊急対応を目的とするものではないということを説明します。
あくまで不整脈を記録し、早期発見を目的としているのでこれに関しては必ず誤解がないようにしなければいけません。
遠隔モニタリングを導入するにあたって外来時ベットで遠隔モニタリング管理料がかかります。
前述したように診療報酬で決まっており、年間3000円程度かかることを説明します。
その他、機械設置場所の説明や機械のトラブルがあった際の連絡先などを説明しています。
まとめ
遠隔モニタリングを使用することで患者生命予後の改善や生活改善も望むことができます。
メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで運用することが大事です。
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