トラブルシューティング その1

【ここで学べる事】
・リード不全の原因
・ルーズピンとは?
・ペーシング不全の原因
・それぞれの対処方法

リード不全

リード内の構造は陽極と陰極の導線が入っています。


本来この2つの導線が電気的に接触しないように絶縁体に覆われています。


ただ、何らかの原因によりリードが損傷することがあります。


リード内の導線が切れることを断線


絶縁体が破れてしまうことをリーク


といいます。

リード断線

リード内で導線が切れてしまうことです。


外見上では判断しにくく、完全に断線するまえに徐々に導線が損傷していきます。


完全に断線していない状態を「半断線」や「不(完)全断線」と呼びます。


では、どうやって断線を見つけるのかというと、


リードインピーダンスの変化です。


断線状態に近づくと電気が流れにくくなるため、インピーダンスが上昇します。


インピーダンスに変化がなくても心内心電図にノイズが記録されたり、体動時にノイズが記録されることもあるため注意が必要です。

CEさん
CEさん

インピーダンスの変化は前回以前のチェックデータと比較して判断することが大切です。

リードリーク

リード内の絶縁体が破れてしまい、漏電してしまうことです。


リークが発生してしまうと本体から出力された電圧はリークしたところから漏電してしまいペーシングフェイラーになります。


では、リークした場合の判断方法は


インピーダンスの低下です。


また、リード断線と同じように心電図上でノイズを記録することもあります。

断線→インピーダンスの上昇
リーク→インピーダンスの低下

ルーズピン

リードと本体コネクタの接続不良を「ルーズピン」といいます。


ルーズピンによりペーシングフェイラーやインピーダンス異常、ICDやCRTではショック不全が起こるためとても危険です。


なぜ、ルーズピンが起きるのか?


リードを収納する本体側の部分を”キャビティ”といい、

キャビティはリードが入るギリギリの空間しかスペースが空いていません。


リードを挿入時キャビティ内の空気が排出されずリード挿入によって空気が圧縮され押し返されてしまいます。


これを防ぐためにネジ締めに使用するトルクレンチを差し込んだ状態でリード挿入を行うと内部の空気は抜け、ルーズピンが起こりづらくなります。


ルーズピンを確認する方法として


リード接続部が約2mm程度出ていること


術中イメージでの確認


があります。


トルクで締めたあと、リードが抜けないかリードを軽く引っ張り確認することも大切です。

ペーシング不全

ペーシング不全に至る原因は様々あります。

  1. 心筋虚血による心筋側の変化
  2. 薬剤の影響
  3. リード不全
  4. ルーズピン
  5. 出力設定の誤り

心筋梗塞になってしまった心筋は閾値が上昇してしまうことがあります。


閾値が上昇=高出力設定


自動出力調整が入っているのであれば出力不足でペーシング不全になることは低いですが、


固定出力であればペーシング不全になることがあるため注意が必要です。


また、高出力であればそれだけ電池消耗が激しくなり電池寿命が短くなってしまいます。


閾値上昇の時はパルス幅変更を考慮してみることも大事になります。


薬剤による影響であれば、出力の変更や薬剤の量を変更を。


リード不全によるものでは、一時的に出力を高くしたうえで早期に追加のリード挿入を考慮するべきです。


ただし、患者背景や疾患などを踏まえたうえで検討すべきです。


ルーズピンでは出力設定では対応できないことが多く、再手術が必要になります。


前述したように、植え込み手術後の胸部レントゲンをしっかりと確認する必要があります。

まとめ

植込みデバイスでのトラブルが起きた時、まず確認するべきは、ペーシング不全がないか

ペーシング不全が起きているのであれば、テンポラリーペースメーカを留置することも考慮にいれてから再手術や対処を行います。

日常業務をしていくなかで、トラブルを避けることは難しいです。

トラブルが起きてしまったとき焦らずに原因の究明を行えることがトラブルシューティングの一歩になります。

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