ペーシングとセンシング

ペースメーカ外来中や植え込み手術のとき、ペーシング出力と感度の設定で迷ったことはありませんか?

ペーシングの出力や感度を設定するうえで重要なポイントは


ペーシング不全センシング不全が起きていないか

・設定通りの作動を行えているかです。

適切な出力や感度の設定が理解できれば患者さんのQOLに直結し、デバイスの不適切作動を防ぐことができます。

認定士の試験範囲でも出力や感度についての問題は頻出です!

そこで、今回はペーシングとセンシングについてまとめていきます!

【ここで学べること】
・ペーシング設定方法
・センシング設定方法

ペーシングについて

ペーシング部位

デュアルチャンバであれば心房と心室シングルチャンバであれば心室または心房のみになります。

さらに詳しく


留置部位は心房リードは右心耳、心室リードは右心室の心尖部または心室中隔です。

心尖部と心室中隔の使い分けは使用するリードによります。
下の記事でリードの種類についてまとめているので確認してみましょう。

(植え込みデバイス)

ペーシング閾値

心筋を興奮させるのに必要最低限の出力をペーシング閾値(threshold)といいます。
また、ペーシングを行う際に出力と同じくらいパルス幅も重要になってきます。

パルス幅は何秒間心筋を刺激するかです。
各メーカーで違いはありますが、初期設定では0.4ms程度になっていると思います。

ではなぜ、パルス幅が0.4msに初期設定されているのでしょうか?

それは、レオベースクロナキシーの関係が深く関わっています。

レオベース(基電流)
一定のところまで通電時間(パルス幅)を長くしても刺激閾値は変わらない(低下しない)

クロナキシー
エネルギーの最小となる効率の良い刺激値、レオベースの2倍の閾値

レオベースとクロナキシーの関係によりパルス幅が決定されます。

出力設定

出力設定を行うときは閾値の約2倍以上といわれています。

ただし、高出力にしておくと横隔膜のtwitchingや電池消耗が早くなり、本体交換の時期が早まり感染の原因や患者のQOLを下げてしまうことにもなるので注意です!

それなら出力が低いほうがいいのか?という疑問も出てくると思いますが、たとえ閾値が0.5Vであったからといって単純に2倍の1.0Vにしておくのは危険です。

心筋梗塞などでペーシングリード先端の心筋組織が壊死してしまった場合、閾値が上がってしまいペーシングフェイラーになる可能性があるためです。

なので、出力は低くても2.0Vくらいが推奨だと私は思います。

各メーカーごとにアルゴリズムは違いますが、自動閾値測定により出力が自動変更される機能があるのでそれを上手く活用すればペーシングフェイラーの予防になります。

ウェデンスキー効果も覚えておくとよいでしょう。

ウェデンスキー効果
強い電気刺激を与えて反応させた後、一定時間それ以下の電気刺激の値でも心筋は反応する現象

センシングについて

センシング感度設定

センシング理想値
【植え込み時】
心房電位:3.0mV以上
心室電位:8.0mV以上
【慢性期】
心房電位:2.0mV以上
心室電位:5.0mV以上

センシング感度設定は波高値の1/2以下といわれています。
適切な感度設定によってオーバーセンスやアンダーセンスを防ぐことができます。

センシング不全

センシングを設定するうえで重要なことはオーバーセンシングアンダーセンシングです。

オーバーセンシング
本来感知しなくてよい波形を感知してしまいペーシングが入らなくなってしまうこと。
クロストークや外部からの電磁干渉、リード損傷などのノイズを感知してしまうことがある。
原因としてセンシング感度が鋭い可能性がある。
日常では発見しにくいリード損傷などは筋電位干渉誘発試験「おがみ試験」で判明することがある。

アンダーセンシング
設定したセンシング感度よりも自己波の電位が低いため自己波を感知できないこと。
自己波を無視した不必要なペーシングが入ることになり動悸や不整脈の誘発にもつながる。
原因としてルーズピンやセンシング感度が鈍い可能性がある。

まとめ

適切な出力設定や感度設定を知っておくことは日々の外来チェックやトラブルシューティングの解決にとても役に立ちます!

メーカーごとの自動調整機能のアルゴリズムは違うためそれも考慮してチェックを行えるとなお良い推奨設定が行えると思います!

まだ私も全てを把握しているわけではないですが、今後勉強して記事にまとめれたらと思っています!

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