心房性頻脈

【ここで学べること】
・心房起源の不整脈の種類
・それぞれの治療方法や分類の理解

【心房不整脈】
刺激伝導系の房室結節や房室結節からの異常な電気信号によって引き起こされる不整脈の一種です。心房不整脈には、心房細動や心房中隔不全、心房性頻拍などが含まれます。
症状には悸動、息切れ、めまい、倦怠感などがあります。治療法には薬物療法、カテーテルアブレーション、ペースメーカー植え込み手術などがあります。

心房細動(AF : Atrial Fibrillation)

現在多くの高齢者に頻発している疾患です。


心房細動は心房内に血液の淀みができることで血栓が発生します。


その血栓が心臓の拍動により心臓から拍出され他臓器で詰まると重大な疾患を引き起こします。


疾患としてあげられるのは脳梗塞です。


心原性脳梗塞と呼ばれます。


また、後遺症として半身麻痺や言語障害などを招きます。


心房細動の発症原因としては主に


生活習慣病喫煙アルコール心不全睡眠呼吸障害甲状腺機能亢進症


が関与しています。

分類

心房細動は発生から症状の期間によって5つに分類することができます。


AFの5病型分類

[病型][定義]
はじめて診断された心房細動過去に診断されたことがない
はじめて心電図で確認されたもの
発作性心房細動
(paroxysmal)
治療の有無にかかわらず7日以内に洞調律に戻る
持続性心房細動
(persistent)
持続が7日を超える
長期持続性心房細動
(long-standing persistent)
1年以上継続している
洞調律維持療法を考慮するもの
永続性心房細動
(permanent)
洞調律維持療法を考慮しなければいけない
除細動が効かない
CEさん
CEさん

paroxysmal」略語は覚えておきましょう。

診断方法

動悸や息切れなどの症状が出現してから受診時に発見されることが多いですが、


では、診断には何が使われるのでしょうか?

  • 携帯型心電計
  • ホルター心電図
  • 植え込み型心臓モニター心電計(ICM)

ICMは2~3年間の心電図記録が可能になり、外来で導入できることから普及しており、遠隔での管理も可能です。


原因不明の失神や2016年からは原因不明の潜因性脳梗塞の診断(AF検出のため)に対して保険適用となっています。

治療・予防方法

心房細動の治療は生命予後・QOL・自律的社会機能改善を目的に5段階に治療が分けられています。

【各ステップ】【内容】【目的】
step1
急性期の管理
洞調律維持
心拍数調節
血行動態の安定
step2
憎悪因子の管理
生活習慣改善
基礎心疾患の治療
心血管病リスクの減少
step3
脳梗塞リスクの管理
高リスク患者への抗凝固療法脳梗塞予防
step4
心拍数の評価
適切な心拍数調節症状改善
左室機能維持
step5
症状の評価
抗不整脈薬
電気的除細動
カテーテルアブレーション
外科治療(Maze手術)
症状改善
CEさん
CEさん

年齢や症状、持続時間、患者の意思などを十分に考慮し治療方針を選択しています。

心房細動により引き起こされる心原性脳梗塞は発症後の予後が不良であり、予防がとても大事です。


脳梗塞のリスク評価CHADS2スコアを用いて早期診断を行います。

頭文字危険因子点数
C心不全(Congestive heart failure)1
H高血圧(Hypertension)1
A年齢≧75y(Age)1
D糖尿病(Diabetes mellitus)1
S2脳卒中/TIAの既往(Stroke/TIA)2

※TIA:一過性脳虚血発作

上記表から該当する点数によってリスク分類がされます。

0点低リスク
1点中等度リスク
2点以上高リスク

CEさん
CEさん

ここは試験に出ました。なのでしっかりと覚えておきましょう!

心房頻拍(AT : Atrial Tachycardia)

心房心拍数:100~250/分
上室性頻拍の3~17%を占める。
発生起源は心耳や自由壁、房室弁輪、冠静脈洞など。

分類

病因
・特発性
・続発性(弁膜症、開心術/アブレーション後、心筋症、心筋梗塞など)
出現様式
・持続性(permanent)
・非持続性(paroxysmal)
 -反復性(repetitive)
 -頻発性(incessant)
頻拍機序
・マクロリエントリー型
・巣状型(focal)

治療方法

血行動態によって治療方法が変わります。


・血行動態が不安定→麻酔をしたうえで除細動(同期放電)


・血行動態が安定→薬物療法


薬物抵抗性や副作用が出現する場合はアブレーションを検討します。

心房粗動(AFL : Atrial Flutter)

心房心拍数:240~440/分。

分類

Ⅱ、Ⅲ、aVFの下壁誘導で陰性の鋸歯状波形を示します。

治療方法

抗血栓療法が推奨であり、再発予防としてアブレーションも検討されます。


抗血栓療法を行ったうえで



血行動態が不安定→麻酔下で除細動(同期放電)


血行動態が安定→薬物療法


を行います。

心房期外収縮(APC : Atrial Premature Contraction)

心房から発生する期外収縮のことを心房期外収縮(APC)といいます。


健康な人でも9割以上APCを認め、加齢とともに増加しています。



その他にカフェイン、アルコール、ストレス、疲労、COPD、器質的心疾患などでも増加します。


APCそのものを治療する必要はなく、症状が軽度であれば経過観察で、APCがきっかけで心房細動を認めた場合は心房細動の治療を行います。


症状がひどく、日常生活に影響がある場合は治療を検討しますが、カフェインやアルコールなどの生活面での改善を促し、それでも改善がない場合はβ遮断薬による薬物治療を考えます。

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