【ここで学べること】
・ブルガダ症候群
・QT延長症候群
・カテコラミン誘発性多形成心室頻拍
【致死性不整脈とは】
重篤な心臓リズムの異常であり、患者の生命を脅かす可能性があります。この状態では、心臓の電気信号が乱れ、心室が不規則に収縮します。主な種類には、心室細動(VF)と心室頻拍(VT)があります。これらの病態は、冠動脈疾患、心筋症、電解質異常などの要因によって引き起こされることがあります。
まずは、各疾患の特徴をとらえて理解していきましょう!
それでは、やっていきましょう!
ブルガダ症候群
致死性不整脈の中で名前はよく聞いたことがあると思います。
ブルガダ症候群は日本を含むアジア人に多く、特に成人男性が多いです(男女比10:1)。
V1~V3右側胸部誘導でST上昇が認められる疾患で、日本での「ポックリ病」の多くはブルガダ症候群ではないかと考えられています。
日本人成人男性におけるブルガダ型心電図の有病率は0.5%とされ、ブルガダ症候群患者の約20%のにSCN5A(Naチャンネル遺伝)の変異が認められます。
特徴として、V1~V3心電図でのST上昇に注目すると
- 上向きに凸のcoved型(type1)
- 下向きに凸のsaddle back型(type2)
があります。
ブルガダ症候群として診断されるのは波高値が2mV以上のcoved型です。
高位肋間記録(第3または第2肋間)でcoved型ST上昇を認めることがあり、Ⅰc群のピルジカイニドなどを投与することで波形が明らかになることがあります。
予防としてはICDによる除細動が確実で、心室細動が続くようであればシロスタゾール、キニジン、ジソピラミドが有効であることがあります。
QT延長症候群(LQT:long QT syndrome)
心電図のQT間隔延長と多形成心室頻拍のTdP(トルサードドポアント)が認められる疾患です。
心筋のイオンチャネルの遺伝子異常により起こる心筋再分極異常が原因で、女性に多いです。
β遮断薬が第一選択となり、QT時間が470ms以上であれば無症状であっても内服が推奨されます。β遮断薬のなかでもナドロールが推奨されています。
低K血症はQT延長を助長させるため、K値を>4.0mEq/Lに維持することが望ましいとされています。
【ナドロール】
β遮断薬のなかでも内因性交感神経刺激作用(心拍数や血圧の上昇など)がない。
LQTを発症する症状としてRomano Ward症候群とJurvell Lange-Nielsen症候群があり、両社とも遺伝子異常によって引き起こされます。
Romano Ward症候群
遺伝性で不整脈を起こしやすく突然死のリスクがある疾患です。
失神や動悸、胸痛が認められ、ホルター心電図や遺伝子検査で診断されます。
治療法として薬や生活習慣の改善があります。
Jurvell Lange-Nielsen症候群
重度の難聴と不整脈を併せ持つ稀な遺伝性疾患です。
突然死のリスクもあり、聴力診断やホルター心電図、遺伝子検査で診断されます。
不整脈に対しては薬物治療やペースメーカ、難聴に対しては補聴器や人工内耳で治療が行われます。
Romano Ward症候群は3分類に分けることができます。
- LQT1:40%
- LQT2:30-40%
- LQT3:10%
カテコラミン誘発性多形成心室頻拍(CPVT:catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia)
運動や興奮などのストレスによって起き、若年者(10歳未満)の失神や突然死の原因となる遺伝性疾患です。
頻度は10000人に1人程度といわれるくらい稀な遺伝性疾患ですが、家族歴はなく何らかの突然変異で起きます。
診断が難しく運動負荷検査やエピネフリン負荷検査により診断されます。
第一選択として内因性交感神経刺激の少ないプロプラノロールやナドロールなどのβ遮断薬が選択されます。
β遮断薬投与中に不整脈発作をきたした場合はフレカイニドを考慮する。
まとめ
臨床で致死性不整脈を確認するために心電図の判読が必須になります!
診断方法や薬剤の副作用など、覚えることはたくさんあります。
一つ一つ押さえていきましょう!
コメント