【ここで学べること】
・慢性期合併症とは
・デバイス植え込み後に起こる合併症の種類
・診断と対処方法
慢性期合併症
慢性疾患が長期にわたり持続するものです。
例として糖尿病があげられ、早期発見と適切な治療により発症を抑えたり、進行を遅らせることができます。
慢性期合併症
刺激閾値の上昇
リードの経年劣化や抗不整脈薬による薬剤効果、電解質変化、心筋梗塞や心筋炎などの心筋傷害が原因で生じます。
閾値上昇に対してはペーシング出力の変更や出力パルス幅の変更で対応します。
後述するリードの経年劣化によるものであればリードの追加を考慮します。
リード断線
肋鎖靱帯と鎖骨の圧迫やポケット内での屈曲、三尖弁輪での屈曲、リード先端への拍動ストレスなどによるもので断線が起きます。
通常チェック時にインピーダンス値に異常がみられるため、断線が疑われる場合は胸部レントゲンなどで内部の構造確認を行い判断します。
対応として極性の変更(双極から単極)を行うかリードの追加を行います。
リード絶縁体不良
ESCやMIOによる経年劣化での絶縁体被膜の損傷により生じます。
導線が露出し電流のリークが起こることで筋肉の攣縮やペーシング、センシング不全が起き、インピーダンスの低下が発生する。
対応として極性変更やリードの追加を行います。
アレルギー反応(金属アレルギー)
アクセサリーで起こる金属アレルギーと同じく創部不快感や皮膚の変色、発赤、腫脹が生じます。
重篤な場合はポケットからデバイスが露出するほどの解離が起きる。
事前診断での確認や本体をPTFEシートで覆い皮下に植え込むなどの対応が必要になる。
皮膚の圧迫壊死
慢性的な圧迫により血行障害が起こり、皮膚が壊死してしまう状態です。
症状としては、創部皮膚の発赤、腫脹、疼痛、変色、壊死がみられ、重篤になるとデバイスが露出してくることもあります。
皮膚直下へ植え込みはせず、大胸筋膜下に留置し、過度な圧迫を防ぐ必要があります。
また、入院期間中の清拭や観察を怠らないようにしなければなりません。
植え込み直後はお風呂が限定されるためこまめな観察が必要です。
血栓・塞栓症
リードが挿入された静脈(鎖骨下静脈や橈側皮静脈など)は血液の流れが悪くなることがあり、その場合血栓が生じてしまいます。
浮腫がみられることがあり注意が必要です。
血栓や塞栓が起きてしまった場合、リード抜去やリードの追加が困難になります。
血栓や塞栓が起きていても側副血行路が発達していれば特別な処置が必要ないことが多いです。
Twiddler’s syndrome
植え込み後ポケット内でデバイス本体が回転しリードに捻じれが生じ、過度なストレスが生じている状態です。
リードの脱落や留置位置の移動、損傷、断線の原因になります。
大きすぎるポケットやリード固定が不十分であることが原因の一つでもあります。
診断には胸部X線での確認が行われ、デバイスチェック時に異常なデータがみられることがあります。
ペーシング不全、センシング不全がみられる場合には再手術が必要になります。
ペースメーカ症候群
心房心室の同期が保たれていないため起きます。
SSS患者に対してのVVI設定やPMTの発生、AVdelayが不適切であることが要因になります。
これにより動悸やめまい、息切れ、倦怠感、易疲労感を感じやすくなるため、設定の見直しが必要になります。
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