【ここで学べること】
・心筋梗塞について
・拡張型心筋症について
・肥大型心筋症について
・不整脈原性心筋症について
基礎心疾患とは?
心臓や血管に関連する疾患や異常の総称です。
心臓病、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、不整脈などが含まれます。これらの疾患は、健康な生活を脅かすリスクがあります。では、なぜこれらの疾患が発生するのでしょうか?
それは、遺伝的要因や生活習慣などのさまざまな要因が関与しています。
ここでは心筋梗塞や心筋症などを取り上げてみていきます。
虚血性心疾患(心筋梗塞)
虚血性心疾患には不可逆的なものと可逆的なものがあります。
- 心筋梗塞(不可逆的):心筋に血液が供給されないことで、壊死が起こる状態。一度発生すると心筋の一部が永久的に損傷を受け、回復することができません。
- 狭心症(可逆的):労作時などに心筋が不十分に血液を受け取り、虚血状態になるが、安静にするか血流を改善すると症状が改善される。つまり、時間が経てば心筋が正常な状態に戻ることがあります。
心筋梗塞による不整脈の発生機序には、自動能とリエントリーの2つがありますが、一般的にはリエントリーが主要な機序となっています。
リエントリーは、異常な電気信号のループが心臓内を循環し、正常な心拍を乱すことで不整脈を引き起こします。
心筋梗塞後の心室頻拍の機序もリエントリーであり、引き金となっているのが心室期外収縮(PVC)です。
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器質的心疾患
拡張型心筋症(DCM:dilated cardiomyopathy)
心筋収縮力が低下し、左心室が拡張してしまう疾患です。
高血圧、弁膜症、心筋梗塞など原因が明らかな場合は特定心筋症とされ、労作時の動悸や呼吸困難、易疲労感の心不全症状が認められます。
症状が進行すると安静時にも症状が認められ、房室ブロックも起こすことがあり、心原生の塞栓症を引き起こします。
心不全症状に対しての薬物療法として、β遮断薬とアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を併用して使用されます。浮腫には利尿剤を使用します。
強心薬(ジギタリスやカテコラミン製剤)は症状改善効果はあるが、生命予後改善効果はありません。
非薬物療法は心臓再同期療法(CRT,CRT-D)があります。
心臓リハビリテーションによりQOLが改善することが認められていますが、十分な薬物療法や非薬物療法を行ったうえでも心不全が改善しない場合は心臓移植も考慮しなければなりません。
肥大型心筋症(HCM:hypertrophic cardiomyopathy)
左室心筋の異常な拡大により左心室の拡張機能が障害される疾患です。
高血圧や弁膜症などがないにも関わらず発症します。
閉塞性と非閉塞性に分けられます。
左室流出路が狭くなることが認められるものが閉塞性で認められないものが非閉塞性です。
閉塞性の場合は運動時に症状が悪化し失神することがあり、運動直後に強くなるといわれています。
治療としてβ遮断薬やカルシウム拮抗薬が用いられます。また、Ⅰc群の抗不整脈薬は使用が禁忌であり、Ⅲ群のアミオダロンが使用されます。AFが起こると心不全が急速に悪化したり塞栓症が起こるため抗不整脈薬や抗凝固薬を使用します。
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左室流出路狭窄が著しい場合はペースメーカを植え込み左室内圧格差を軽減します。外科的に心筋を切除したり、エタノールによる心筋の焼灼術を実施することもあります。
心臓死の中で最も多く、突然死発生率は1%/年前後です。
30歳未満の若年者では突然死のリスクが高いとされ、運動時に発生することが多いです。
突然死の危険因子として
- 心停止
- VF
- 持続性VTからの組成例
年10%程度と再発の危険があるため二次予防としてICDの植え込みが推奨されます。
不整脈原性右室心筋症(ARVC:arrhythmogenicright ventricular cardiomyopathy)
遺伝性心筋疾患であり、右室心筋の脂肪変性と線維化が特徴です。
心電図上で特徴的な波形があり、V1~V3の終末部でみられるε(イプシロン)波とよばれる”ノッチ”と陰性T波がある。
ε波は右室の限局的伝導遅延があることをあらわしている。陰性T波は右室の再分極異常をあらわしている。
進行すると右室および左室の心筋障害から右心不全や両心不全をきたします。
二次予防としてはICDの植え込みが考慮されます。
まとめ
基礎心疾患は血圧管理や薬物療法、特に生活指導などが重要になります。しっかりと患者さんと向き合ったうえで多職種とともに連携しサポートしていく必要があると私は思います。
また、ICDの植え込み適応などが細かく決まっているのでそこも押さえておくとなおよいかと・・・
覚えることはまだまだ多いですが、一緒に頑張りましょう!
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